今日は桐塑(とうそ)についての講演会に参加してきました。
人形の仕事をしていると桐塑以上に馴染みのある素材もそうないのですが、一般的には桐塑がどういうものだか知られていないと思います。
今回は基本的な桐塑の知識から始まり、いろいろな角度から見た桐塑という素材、桐塑を用いた技術についてのお話をしていただきました。
まず桐塑とは、桐の大鋸屑(おがくず)と生麩糊(しょうふのり)を練って作った練り物だと説明されました。
桐塑の特徴としては、軽くて丈夫なため運送に便利なことと、型抜きでの量産が可能なことを大きく取り上げていました。
その後は、知っていたことやあまり自分には関係のないこと、自分の仕事の参考になることなど、1時間半たっぷりお話を聞きました。
以下は講演の中で特に参考になったことについてまとめおきます。
機械に代えられない職人の技
・機械は同じことを繰り返して同じ物を作る
・職人は違うことを繰り返して同じ物を作る
職人の仕事は、自転車に乗ることや歯ブラシを使うことと同じ。
砂利道でも、坂道でも、友達の自転車でも、親の自転車でも、自転車に乗るということは変わらない。
柔らかくても、硬くても、大きくても、小さくても、歯ブラシを使うということは変わらない。
それと同じように、職人は環境や状態によって同じ物が作れないということはない。
機械ではそれができない。(今後AIの発達によってはわからない)
様々な素材がある中での桐塑の良さ
最初の説明であった、軽くて丈夫なこと、量産できることに加え、桐塑の型で使用する松脂(まつやに)は再利用可能なことと、桐塑の原料である桐粉と生麩糊は燃やせることから、桐塑を用いて量産することはエコであると言える。
これからの桐塑の在り方
便利な素材が次々に生まれる中で、桐塑が使用されなくなっていくことは自然なこと。
桐塑を使用することの価値を消費者が見出せるかが存続の鍵。
桐塑に価値を感じる人が増えれば、桐塑の技術を受け継ぐ人が出てくるはず。
(まさしくわたし!価値を伝えていこうと思った!)
ざっとですが、印象に残ったところをまとめました。
講演会の内容は今回の企画展の図録にも収録されているそうなので、興味のある方は買ってみると勉強になると思います。
実はわたしは、仕事では石膏、制作では木彫をメインに扱っているため、桐塑を使うことはとても稀なんです。
しかし、前から桐塑での量産の仕方は興味があり、自分でもできるようになりたいと思っていたので、今回のお話はとても興味深く参考になりました。
人形の作り方にはいろいろな方法がありますが、教えてくれる人がいるうちに、たくさんの方法を吸収していきたいです。
そして、今後たくさんの人に伝えていけるよう精進します。